大手SI事業社 遺伝子解析支援システムツール |
当案件では、SAGE解析という遺伝子解析を支援するアプリケーションの開発を行いました。SAGE解析とは、取りだした遺伝子を数学的に解析する手法で、これまでは解析を行うためには非常に高価な専用の機材が必要でした。しかし、この支援システムを開発することにより、アプリケーションベースで高度な解析ができるようになりました。
アプリケーションの概要ですが、SAGE法(数千種類以上の遺伝子の発現を一度に解析する技術)によって取り出された遺伝子の発現部を数値データに置き換えます。そしてインターネット上で公開されている公共のデータベースに格納されている遺伝子情報(タンパク質の解説データ)をユーザー側のサーバにインポート、アノテーション情報を付与し双方を関連付けて、シーケンスデータとして比較し、解析・統計を行うことができます。操作画面はエクスプローラ風の「使いやすく、見やすい」ユーザービリティに優れたGUIを採用しました。データベースはもちろん、アプリケーションについても、オブジェクト指向的なアプローチによる、柔軟で拡張性の高い設計・開発を行いました。
この遺伝子解析支援システムの開発にあたっては、実際の開発作業に入る前に、まず私どもが遺伝子解析について理解する必要がありました。当初、我々は遺伝子工学についての理解がほとんどなく、専門用語が飛び交うお客さまとのお打ち合わせ時にも十分なコミュニケーションを図れませんでした。これではお客さまのご要望を満たすサービスを提供することはできません。そこで一念発起し、遺伝子工学の初歩から学習を開始。お客さまとのディスカッションをくり返し、必要な遺伝子工学についての知識を共有することができました。このインプットがあったからこそ、お客さまの、ひいては実際の利用者である研究者の立場に立った「使いやすい、見やすい」アプリケーション開発ができたのだと思っています。未知のものにも臆せず積極的に取り組み、十分な成果をあげられたことが、このプロジェクトを経験しての大きな収穫でした。